スクラップブック

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 【家紋入りハンカチ】  片付けを再び再開すると、手伝いにやって来てくれた。  僕の家に昔から続いている家紋入りハンカチが出てきた。  「両親のことを訴かれるのはあまり……僕は勘当された身だしね」  自嘲気味に淋しげに笑って見せる。  「家紋は家に代々伝わる紋章みたいなものだね」  「家紋を見て何を感じる?」  「……この家紋には、ずいぶんと苦しめられたよ。  西園寺を象徴するものだから、今でも、あまり好きではないな」  ハンカチを見つめて苦笑いを浮かべている。  「家のこと? 例えば? うーん、両親ね……」  「正直なところ、あまり関わりを持っていないんだよ。  父は師匠として尊敬しているけど、それ以上の気持ちはないし」  「お母さんは?」  「母は……あまり、母らしいことをしない人だったから。  やっぱり、自分との関わりは薄い気がするね」  「ご両親嫌いなの?」  「いや? 嫌いじゃないよ。かといって大好きでもないけれど。普通……じゃないかな」  家紋入りハンカチを返してもらう。
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