スクラップブック

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 【舞台写真】  平安時代のお姫様みたいな格好の人が写っていて、初めて見たときはビックリしたっけ。  弟の嘉月くんと一緒に出た歌舞伎の舞台だって云ってたけれど、この頃は仲が良かったのかな?  客演としてでも、また2人で舞台に立てば、仲直りできたりしないのかな……。  「あの、雪永さん。これについてなんだけれど……。  隣にいるのって、誰?」  「わからないかい? 嘉月だよ」  「えっ、雪永さんの……」  〔化けると言った場合〕  「化けるものだね。ブスッとした顔しか見たコト無いから分からなかったよ」  正直な意見を述べられる。  「ふふっ、なるほど」  〔かわいいと言った場合〕  「嘉月くん……かわいいね。美少女って感じ」  「本人は、嫌みたいだけれどね。“美人”を演じられるほうがいいと、いつも怒っていたよ。  ……嘉月と舞台に上がっていただなんて、今となっては夢のようだな。ほんの数年前の話なのに」  感慨深げに語ってしまう。  「雪永さん……」  〔嘉月が好きかと聞いた場合〕  「嘉月くんのコト、好き?」  「……どうだろう。あいつは、僕をいらつかせる天才だから。まあ、それでも……自分の弟だからね。嫌いには、なれないよ」
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