スクラップブック

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 〔悲しいかと聞いた場合〕  「悲しいの?」  「僕が? 何故。ちょっと懐かしく思い返しているだけだよ。心配しないで」  〔嘉月を知らない場合〕  「隣にいるのって、誰? 役者仲間?」  「それは……僕の弟だよ」  「えっ。雪永さん、弟いたんだ!?」  素っ頓狂な声を出して驚かれた。  「そんなに驚くようなことかい? 心外だな」  「…………。で、弟さんは、今何を?」  「歌舞伎を続けているよ。僕と違って、あいつは一筋で真面目だから」  「………………」  「さ。弟の話は、これでおしまい。そろそろ写真を返してもらいたいんだけど?」  手を差し出す。  「………………。 あ、う、うん。ゴメン」
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