20人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
〔悲しいかと聞いた場合〕
「悲しいの?」
「僕が? 何故。ちょっと懐かしく思い返しているだけだよ。心配しないで」
〔嘉月を知らない場合〕
「隣にいるのって、誰? 役者仲間?」
「それは……僕の弟だよ」
「えっ。雪永さん、弟いたんだ!?」
素っ頓狂な声を出して驚かれた。
「そんなに驚くようなことかい? 心外だな」
「…………。で、弟さんは、今何を?」
「歌舞伎を続けているよ。僕と違って、あいつは一筋で真面目だから」
「………………」
「さ。弟の話は、これでおしまい。そろそろ写真を返してもらいたいんだけど?」
手を差し出す。
「………………。
あ、う、うん。ゴメン」
最初のコメントを投稿しよう!