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先輩らしき女子は小さくて細く、不健康な印象を与えてくる。ちゃんと食ってるのだろうか?
「気のせいですよ、きっと」
見た目少食な小学生高学年の先輩は、俺を下から覗き込む様に見上げてくる。
「一人は辛くない……?」
新手の宗教勧誘か何かの様にひたすら痛い事を初対面の俺に話し掛けるなんて哀れ過ぎて若干涙が出そうだ。しかし、その視線の先は俺ではなくその背後に向けられている。後ろを振り返ってみるが、残念ながらバイトの研修生しかいなかった。
「霊感商法か何かですか?」
俺の不躾な質問に、先輩は首を横に振った。
「部活、だよ?」
知らないの、というニュアンスを混ぜた口調だった。口ぶりからすると校内でもかなり有名らしい。それでも知るわけないだろ、新入生なんだから。
「まだ入学したばかりなので、知りません」
「そっかぁ……緑は今年の一年生の色だもんね」
先輩は頷きながら何かを考え始めた。今の状況では悪い予感しかしない。
「ねぇ、部活……見学しない?」
何か水晶で出来た除霊グッズでも買わされるかと思ったが、案外まともな内容だった。それでもこの先輩とはこれ以上関わりたくない。少なくとも『ろりぱら☆』とか持つのをやめて欲しい。買うつもりなのか?
「すみません、用事があるので無理です」
テンプレート万歳な返答でやんわりと断った。
「そう…………」
残念そうに呟いている様子を見て少し後悔するが、背に腹は替えられない。
「それじゃ、さよなら先輩」
「さよなら……またね」
先輩の言う『またね』が妙に印象的だったが、忘れる事にしてコンビニを出た。
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