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俺は昼休憩が終わる前には同好会室を出ていた。物凄くサボりたい衝動に駆られたが、一月経たない内からサボるのはさすがにまずいと思って教室に戻った。神田と福美は既に座って話に花を咲かせている。
「……何の話をしてるんだ?」
「おかえり久遠。なんかげっそりしてるよ、大丈夫?」
最初に反応したのは福美だった。俺の顔が面白いのか知らないがにこやかな表情で気遣う様な言葉をかけないで欲しい。
「大丈夫だ、で……何の話?」
俺が聞き直すと、神田が窓際にいる女子のグループを指差した。その中心には今日委員長になった三浦がいて、立花、日下、結城、立花が…………あれ?
「立花、二人いないか?」
「立花には他のクラスに双子の姉が居るんだと。そっくりのめっちゃカワイイ女子が2人いるってイイよな、片方にフラれてもダブルチャンスで成功するかも」
俺は神田の馬鹿げた言葉に呆れながら、もう一度立花に目を向ける。確かクラスメートの方の名前は知世だった気がする。人気急上昇中の女優に似ているとかでクラスの誰かが話題にしていた記憶はある。それと神田、双子は好みが似ているって言うからダブルチャンスも無いんじゃないか?
「芸能人に似ている、ってだけで好きになれる感性がわかんねぇな」
「久遠の言いたい事はわかるけど、結局決め手になるのは容姿なんだろうね」
福美は表情を崩さず答えて、立花姉妹に告白する計画を立てている神田を見ながら笑った。本当によく笑う男だ。
「そう言えば、久遠を連れてった先輩も可愛かったよな?
いつ知り合った、抜け駆けは許さん!」
神田は俺に詰め寄ると大声でまくし立てた。コンビニでエロ本を読み、霊感商法を得意とし問答無用で同好会に拉致する上にたまにかわいこぶる。全部見た俺からしてみれば、頼まれたって知り合いになるのも嫌な部類だ。それにガリガリ過ぎる。骨川スネ子だ。
「お前、大丈夫か?」
頭の中で色々な言葉が混ざっている時に神田が聞いてきた。
「……駄目かもな」
俺は諦める様に首を横に振って答えた。
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