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次々と起こる喝采、人々の暖かい目。
それは、見たことのない、自分に向けられたことの無いもの。
少女はきゅっ、と唇を噛み締めました。
すると、徐に主人が花嫁の元へと歩いて行きます。
少女の噛み締めた唇から血が溢れ落ち、細く、白い首筋を通りました。
私の、ご主人様、私だけの、ご主人様。
そう言って抱きつきたい気持ちを押さえ、少女はただ、楽しそうに話す主人と花嫁を見つめるのでした。
ぐっ、と唇を袖で拭い、血の滲む粗く織られた布を手で押さえ、主人の帰りを待っていた時でした。
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