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「それと三日前の夜とその次の日の朝。ここは数値が全く変わっていない。見張りをしたのはこの間だな?」
「ああそうだよ。鋭いね~、あんた」
「数値が全く変わっていない……裏を返せば、いつもはいなかった見張りがいることを恐れていた。やり過ごせば盗める可能性もゼロではなかったが、そんなそぶりは見せず姿すら見せなかった。つまり、そいつは極度に慎重であるか臆病かのどちらかだ」
「だから小心者……」
玲奈は一つ理解したようだ。
「最後に、鍵だ」
「鍵?」
「軟禁錠はどんな風に壊れてた?」
「ええと、確か、塊とフックの部分が綺麗に離れてたわね。すっぱりと」
「そんな芸当が普通の泥棒に出来るか?」
「あ……」
「そう、そんな仕業、加えて音もたてずにやるなんざ、並の人間には出来ない。そんな事が出来るのは、相当手慣れた奴か、或いは……」
「……人間じゃないもの……」
「ああ。ちなみにそっちを判断したのは、ピッキングの達人がわざわざ食糧を盗むなんて事はありえないと判断したから……。
以上の事から、犯人は10~12歳の人間ではない、何等かの力を持った特殊な生物と判断した」
「……さっき言ったのと微妙に違ってませんか?」
「……気のせいだ」
「目ェそらさないでください」
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