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「ま、まあ犯人の予想がつくならそれだけでも十分ためになったよ」
依頼人はちょっと躊躇した様子で言った。躊躇したのは話についていけなかったからだろうか……。
一夜は依頼人に向き直って言った。
「まだ終わりじゃない。あんたの依頼は“事件の解決”……つまり、泥棒を捕まえることだ」
「え、じゃあ……」
「仕事は最後まできっちりやる。泥棒を捕まえる手段を考え、それを実行する」
一夜は次に何をするかを話した。
「そうかい! じゃあ頼むよ」
依頼人は笑顔でそういった。
「実は既に策は練ってある」
「え? 本当ですか? 早いですね」
一夜の言葉に反応する玲奈。
「何言ってんだ。てめえがやるんだよ」
「へ?」
玲奈は突如一夜にそういわれ、少し思考が停止する。が、すぐに復活。
「わ、私一人でですか?」
「基本はな」
玲奈は急に焦ってしまう。
そんな彼女に、一夜はこう言った。
「いいか。これはお前にしか出来ないことだ。お前の行動が成否を左右する」
(私にしか出来ないこと……)
玲奈はその言葉に反応した。
自分だから出来ること……。
自分だから役に立てること……!
「やります! やらせてください!」
玲奈は強く答えた。
「よし。じゃあ策の内容だが、…………」
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