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「もー、なんなんですかー! 人に任せておいて、自分だけおいしいところを!」
「これは予想の範囲内だ。俺は術が失敗するほうの心配をしてたがな」
玲奈がキーキーわめくが、一夜はそれを受け流した。
「ひゃあ!」
一夜は捕まえた少女の足と背中を両腕で支えた。いわゆるお姫様抱っこだ。
少女はちょっと顔を赤らめた。
少女の容姿をよく見ると……、
耳がとんがっていて、
心なしか口の中に牙があって、
スカートの中から、大きな尻尾を覗かせていた。
「……この娘、もしかして……!」
玲奈は目を見開く。
一夜は答えた。
「ああ……、ドラゴンだ」
一夜の予想はほとんど当たりだった。
食糧泥棒の正体は、人間ではない、ドラゴンの血を引いた少女であった。
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