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一夜は少女を下ろして、少女と同じ目線になった。
玲奈もそれに習って屈んだ。
「……まず、お前の名前は?」
「…………ユイ…………」
少女改め、ユイは暫く黙っていたが、やがて口を開いた。
「お前はドラゴンの血を引いている。故にその姿でいる。……間違いないな?」
「……うん……。……パパがドラゴンで、ママは魔法使いだって言ってた……」
少女はこっくりと頷き、家族について簡潔に話した。
さっき玲奈の術を解いたのは、母親から受け継いだ魔力によってだ。
玲奈は一つ納得した。
今度は玲奈が聞き出す。
「どうして……泥棒なんかしたの?」
それは正に核心をつく質問だった。
流石にユイも答えるのを躊躇うが、やがて話し出した。
「……ユイはね、パパとママと一緒にいたけどね、知らない人達がパパをやっつけにきたの。パパはユイとママを守ろうとして逃がしたんだけど、その時ママとはぐれちゃったの……。
それから毎日一人で、お腹もペコペコで……グス……誰かにお願いしようとしても……ウ……誰も……ヒク……助けて……ウ……クれナクて…………!」
ユイは遂に嗚咽をかきながらしゃがみ込んでしまった。
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