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「その小娘をこっちによこしな!」
一夜たちの後ろから、おばさんらしき声が聞こえた。
いや、正しくは、依頼人の声が聞こえた。
「!!」
ユイは一夜たちの後ろを見て怯えた。
一夜と玲奈は後ろを振り返る。
そこには、先程言葉を放った依頼人、そしておそらく商店街の人々が明かりを持って集っていた。
その人々皆が、怒りの顔をあらわにして立っていた。
「この食糧泥棒め!」
「懲らしめてやるわ!」
みんなから罵倒の嵐。
「止めてください!」
玲奈が庇うように、向き直って叫んだ。
「この娘は空腹に耐えられなくて仕方がなくやってしまったんです! みんなに助けてもらえずに、ずっと一人だったんですよ! どうかこの娘を……」
「どきな、嬢ちゃん!」
「そんなこそ泥に情けなんていらないよ!」
しかし皆は話を聞かず、ただただ怒るばかり。
ユイはまたもや怯えていた。
自分が悪い……。みんな自分のせい……。
そして心の中では自分を責めていた。
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