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ス…………
すると今度は、一夜が前に出てきた。
そして彼は告げた。
「俺は、たった今この娘から事情を聞いた。こいつは親とはぐれてしまい、誰にも助けてもらえずに、仕方なく盗みをやったらしい。泥棒は決して許される事ではない……。だが、一人ぼっちだったこいつの気持ちもわかってほしい。
今こいつは、しっかりと反省し、二度とやらないと誓った。どうか許してやってくれ」
「……一夜さん……」
一夜はユイのために、弁解をしてくれた。
「知るかいそんなこと!」
「こんなこそ泥は一度痛い目を見ないとダメなんだよ!」
しかし、皆の怒りはそう簡単にはおさまらなかった。
「それにその小娘、よく見たら前にうちに食べ物たかりにきた小娘じゃないか!」
「あ! そういえばうちにも来たわ!」
「やっぱり懲らしめないといけないわね!」
少女の正体を知ったみんなは、更に怒りだした。
ユイは一度この街に来ていた。“お願い”をしに。……決して“たかり”に来たのではない。
ユイは再び泣きそうになる。
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