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――――数日後。依頼解決事務所『D』にて。
「一夜さん一夜さん!」
玲奈は新聞を持ちながら、一夜のもとへ駆け寄る。
対して一夜は、いつものように中央のデスクに座り、本を顔に被せながら寝ていた。
「……何だコラ」
「ほら、見てくださいよ!」
玲奈は新聞の一部の記事を指差した。
「この間行った商店街。ここの人達が、難民救済のボランティアを始めたんですよ! 余った食べ物を飢えている人々に与えていくって!」
「……そうかー、そいつはよかったなー」
嬉しくはしゃぐ玲奈に対し、一夜はそのままの状態で棒読みで答えた。
「んもー、何興味なさそうに言ってるんですか!?」
「だってそれもう読んだもーん」
「え、あ、そ、そう、ですか……」
玲奈は、普段の一夜からは聞けないような変な台詞を聞いて固まってしまった。
けど、玲奈は知っている。……いや、信じている。
あの時の一夜の言葉が、みんなの気持ちを変えたのだと……。
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