アカネのある一日

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   アタシはアカネ=クサナギ。  バルキリア国の主君、エヴァ=エデン様の親衛隊である四天王の一人として仕えている。  アタシの家系であるクサナギ家は、昔から炎を使った古武術を伝統として受け継いでる。……え? なんか曖昧だって? う、うるせーな。アタシは歴史とか何とか苦手なんだよ。  とにかく、アタシはその古武術とやらを僅か十五歳で皆伝した。調度三年前だな。  話によれば、今まで皆伝してきた中でアタシは史上最年少らしい。ま、ちょっとした自慢だな。  アタシは別に家柄にとらわれるとか押し付けられるとかに対して嫌な思いはしていない。  というか、もともと闘いとか勝負とかは好きな方だったので、むしろ今のこの環境が気に入っている。  そんな境遇……?とやらもあってか、アタシは自分に誇りを持っていた。  カンナさんやヨミさんには敵わない……あ、ユキにもか……まあぶっちゃけ四天王の中では一番下だけど、アタシは強い。  喧嘩とか真剣勝負とかなら、例え相手が大物であれ勝つ自信がある。  アタシは自分に自信を持っていた。  でも、アタシは負けた。  あの男……一夜という奴に。  
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