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「簡単な取引ですよ。この娘たちの代わりに、あなたたちが犠牲になることです」
「何!?」
カンナは驚くのと同時に、怒りをあらわにした。
「ふざけるな!! 貴様一体何を考えて……!!」
「あなたに決定の権利などありません。私はそこの男子に聞いているのです」
カンナの怒りの言葉を、男が遮った。カンナは仕方なく黙る。
「さあ、大事な仲間三人と大切な民間人たちが天秤にかけられましたよ。どうしますか?」
男は不適な笑みを浮かべたまま、一夜に問うた。
カンナたちの注目は、一夜に集まる。
これはあまりにも理不尽な賭けだ。
決定の権限は一夜。……男。
罪無き民間人たちを犠牲にする訳にはいかない。かといって、仮に自分たちが犠牲になったところで、みんなが助けられる保障はない。……おそらく、助けるなどという心は微塵もないだろう。
――どうするのだ。
責任は一夜にかかってくる。
やがて、一夜が口を開いた。
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