事務所

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  「……まるでそっちが勝ったような言い草だな……」  それは答えではなく、相手の意思を探る言葉だった。 「……クックック、そうですよ。この状況はあなたたちには不利な状況、つまりは負け同然……すなわち私の勝ちとなりますね」  男は自信満々で答えた。 「……笑ってる所悪いが、お前の勝ちはありえない」 「……何ですって?」  男は理解できなかった。いや、カンナやヨミ、玲奈だって解らないでいる。 「あなたは馬鹿ですか? 例えあなたが常人より強かろうと、あなたたち側の犠牲無しの選択はないのですよ!? それとも、現状を受け入れられずに狂いましたか?」  そうだ。人質を取られてる以上、不利な状況は否めない。  だが一夜は、自信を持って答える。 「俺はこの不利な状況を覆す、絶対的な裏技を知っている」 「……どういう事ですか?」  未だに意図が理解できない。一体何処にそんな自信を持てる要素があるのか。  一夜は初めて、“笑顔”で答えた。 「……こういうことだ」  
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