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あの誘拐事件から暫くしたあと。
事件解決後も玲奈は悩んでいた。
助かったのはいいが、仕事が無くなったことにかわりはない。結局は振り出しに戻ってしまった。……まああのままモラルを失うような仕事をするよりはマシだが。
そう悩んでいた矢先、一夜が突然「ついて来い」と、玲奈を美雪のホテルへと引っ張っていった。
変な事を想像してしまった玲奈だが、その不安はハズレで、むしろ願ってもない事であった。
一夜が美雪に、玲奈を雇ってくれないかと頼んだのだ。
美雪は快くOKをだしてくれ、そして今に至る、ということだ。
それと、玲奈は一夜にこんな事を言われた。
「……他人をどう評価しようが、お前の勝手だ。だが、そいつだけを見てほかの奴らの価値を決めるような真似はするな。
……人にはそれぞれ“個性”ってのがある。お前もいつかの誰かさんに習っただろ」
玲奈は一夜だけを見て、「男はみな最低」と決め付けていた。
でも、それは違う。見てきた数は少ないが、男の中にもいい人だっている。
現に彼がそうだと思う。
玲奈は自分を恥ずかしく思った。
それと同時に、一夜を“いい人”だと信じることにした。
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