温泉旅行

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その時だ! バサ・バサ・バサ・・ ガタガタ・ガタガタ・ガリガリ・ガリガリ・・・ 窓の方で異様な音が・・・ ヤツか⁉ 二人で音のする窓の方を見る。 少し開いたカーテンの隙間に、アイツの顔が覗いている。 来た‼ その時、スッと、ベランダの戸が開いた。 ヤツが入って来る。 大きな身体を揺さぶる様な・半分弾む様な・異様な歩き方・・ 隣の部屋から、私達の居る部屋に入ろうとしている。 ヤツが入って来た。 私達は、凍りついた。 その時だ! 私は、有る事を思い出した。 そうだ! あの時、休憩所のマッサージ機の所で、温泉の手ぬぐいを拾った事を・・・ 私は、とっさに風呂場に飛び込んだ。 有った! 私は、その手ぬぐいを拾い、キッチンに走った。 ガスコンロに火を点ける。 その炎に、手ぬぐいを投げ込んだ。 勢い良く、手ぬぐいが燃え上がる。 黒い煙が立ち上がって、部屋に広がる。 ヤツは、大きな身体を小刻みに震わせ、大きく腕を振り回し近づいて来る。 部屋に広がった、黒い煙が炎に、吸い込まれて行く・・・ 煙が炎に、吸い込まれるのと同時に、ヤツの身体が、消し飛んで、消えた。 何事も無かった様に、静けさが戻った。 良く解らないが、アノ手ぬぐいが、原因か! とりあえず、今回の事件は、終わった様だ。
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