12人が本棚に入れています
本棚に追加
「残念だけど、オレは天使じゃない。それに、キミは死んでなどいない」
「そ、そんな、なんで、わ、私死んでないんですか!?」
アフロな彼の言葉に、少女は飛びつくように身体を起こした。
シートベルトがしっかり働いて、彼女の身体をシートに戻した。
「オレがキャッチしちゃったからかな」
「き、キャッ、チ?」
「そう、キャッチぃ。んでぇ、リリース失敗しちゃって現状ぅ、みたいな」
「それじゃあ、わかんないだろ。とにかく、こいつらが偶然君をキャッチしてしまったらしく、その後の処理に困って車に乗せちゃったらしいんだ」
「し、しょ、り?」
少女は困惑した表情を隠そうともしないで、俺を見つめる。
胸元まで伸びた長い黒髪が、白いワンピースの上で揺れる。
胸の中心にあるリボン型の飾りが小刻みに揺れていた。
「処理なんて言い方したから、彼女怖がってるだろ」
アフロの言葉はごもっともで、少女はずっとビクついている。
この娘は飛び降り自殺しようとしたってのに、それ以上の何に怖がっているんだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!