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車は激しく揺れて揺れて、あんまり長いこと乗ってるとアフロの運転は酔いそうだ。
「んで、質問に戻るわけだが。ワンピース、何処に行きたい? オレ達はそこでキミをリリースするわけなんだが」
「リリースぅ、リリースぅ」
なぜだかはしゃぐ愉快なギャル姉さんとは対称的に、ワンピースは思い詰めた表情になった。
「わ、私は空に行きたいです」
「空?」
思わぬ言葉につい聞き返してしまった。
「う~ん、空か。この車、飛ばないんだよなぁ。バックトゥザフューチャーとかフィフスエレメントみたいな未来じゃないとさぁ」
「空港ぅ行けば空飛べるよぉ。あとはぁ、ヘリをチャーターするとか」
「未来の話でも無ければ、現実的な話でも無いだろ」
まったく、ミラー越しに顔を見る限り二人してわかっておちゃらけてやがる。
「そんなに死にたいのかい、ワンピース」
「わ、私は、こ、この世に必要ない、に、人間ですから」
思い詰めた顔が、険しいものになった。
幼くか細い少女には、似合わない嫌な顔になった。
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