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路地から街道へ。
車は左折する。
皆の身体が左に傾く。
バランスを取り忘れたのか、ワンピースの体も傾いた。
「ろ、ロッくんは弱い人間を、わ、わかっていません」
「だから、弱いもクソも無いってんだろ。あるのは人間って事ぐらいだ」
「に、人間は誰しも、びょ、平等じゃないんです」
ワンピースがずっと俺を睨む。
積年の怨み、でも持っているかのような敵対視。
「平等じゃない? 確かにそうだ。だからなんだ? そんなの言い訳だ。投げ出す為の言い訳だ。逃げるのも、甘えるのも結構。だけど投げ出すなよ、最後はしっかり立ち向かえ。立ち向かおうともしないで、強いも弱いもないし言い訳なんて役にもたたない」
「わ、私は立ち向かいましたよ」
そう言ってワンピースは右腕の袖を捲った。
右手首に無数の傷痕。
ギャル姉さんも後部座席に身体を乗り出してそれを見た。
わぁぉ、と言ってまた元の姿勢に戻ったギャル姉さんは、腕のリストバンドを取って、両腕を上に掲げた。
「お揃いだねぇ」
両手首に無数の傷痕。
ミラー越しに見える彼女の顔は、それでも笑っていた。
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