そんじょそこらのロックンロール

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   がちゃ、ばたん。 「あー、あー、あー」 「車に乗っていきなり奇声をあげるなんて、なかなか素敵じゃないか」  フロントミラー越しにアフロ頭の彼が、俺にそう言ってにんまりと笑う。  アフロ頭は車の天井につくかつかないかぐらいに盛られていて、俺は一瞬それに言葉を失った。  見るたびにでかくなってやがる。  成長でもしてるのか。 「質問が二つ浮かんでな、優先順位に悩んでるんだ」 「同時に質問してみるってのはぁ、どぉう?」  隣のアフロな彼の真似をするように、助手席に座る彼女もフロントミラー越しに俺を見る。  ひと昔前のギャルファッションに身を包んだ彼女は、頭の先から、今は見えないがいつも通りなら、足の爪まで、キラキラでギラギラに飾り付けられている。  きらびやかに見せたい割には、肌は黒に近い褐色に焼いている。  そんな彼女も今年で二十八歳だ。  彼女の意見はごもっともなので、俺は素直に従って聞く事にした。 「今から何処に行くんだ? 俺の隣でスヤスヤ寝てる彼女は誰だ?」 「いつも通りぃ、決まってなぁい」 「ああ、それは拾ったんだ」
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