そんじょそこらのロックンロール

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「日常的に空から人が降ってくるなんて、ありえないだろ?」 「実は彼女は怪盗でぇ、刑事さんから逃げるために落ちてきたとかぁ。実はビルの何階かでぇ、ジャッキー顔負けのアクションかましてて落ちてきたとかぁ」 「そんな日常がありえないって話をしてんだよ」  彼女の日常は、常に映画や漫画顔負けの大波乱に満ちたものらしい。  俺はそんな日常は、仮に願ってしまったとしても実現して欲しくない。 「だから、この少女が落ちてきた理由なんて一つだよ。自殺だ、自殺。飛び降り自殺」 「はぁ、マジかよ? それはヤバイな」  セリフとは裏腹に棒読みな彼。 「何がヤバいのぉ?」  助手席の彼女は、隣のアフロと同じように棒読み気味でそう聞いてきた。  まったく危機感を持ち合わしてるように感じないのは、気のせいか? 「飛び降り自殺だとしたら、やっぱり遺書用意するだろ。それ以前にこの少女の行方がわからなくて親御さんが捜索願いだしてるかもしれない。そうすると、遺書を発見。やはり飛び降りか?、と辺りを捜索。しかし死体が無い。彼女は何処だ?」 「彼女はオレ達の車の中。拾っちゃったオレは、感謝されるどころか、全部仕組んだ誘拐犯、って疑われる可能性もある」  おーまいっがっ、とシートにもたれる彼の口元は何故だか笑っていた。
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