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部屋の中には、二人の少年と一人の老人がいた。
「翠……葵の留守中、くれぐれも頼むぞ。」
老人は少年の一人を、翠と呼んで言った。
「わかりました。お祖父様」
翠と呼ばれた少年は、無表情のままそう返し、部屋を後にした。
残されたもう一人の少年と老人は、顔を見合せどちらともなく溜息をついた。
「お祖父様…翠は大丈夫でしょうか?」
もう一人の少年の顔は先ほど翠と呼ばれた少年と瓜二つだ。
しかしその顔に浮かぶ表情は、どこか切なげでもの悲しい。
「うむ……葵が心配するのも分かるが、もう我々にはどうすることもできまい。
翠の事を人任せにするのは、こちらとしても不本意だが……………
翠の為だ。」
老人は瞳を細め苦々しげに呟いた。
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