葵の事情

7/7
前へ
/258ページ
次へ
「翠………決して無理はしないでね。 翠は翠。他の誰でもない。君自身なんだから。 どうか自分を大切にして……色々、好きな事とか…やりたい事とか………見つけて。」 ………やばい。まじ泣きそう。翠が自分を押さえ込んで、こうなったのは……… いや、駄目だ。僕が強くならなきゃ、いつまでもこう弱くちゃ、翠が壊れてしまう。 "俺"が泣いてちゃいけない。 翠を守れる位強くなるんだ。 「翠。俺、向こうで手術を受けて、絶対に帰ってくる。翠の所に。 翠はもう、自由に生きていいんだ。もう我慢なんか必要ない。 俺は帰ってくる。必ずね」 翠は無表情だけど、俺の言葉に少し驚いているように感じた。 ゙俺"って言ったのも初めてだし、手術の事を俺の口から言ったのも初めて。 ……"自由に生きろ"って言ったのも初めてだしね。 俺は、本当に翠に守られてばかり、甘えてばかりいたから。 無表情の翠を変えたくて、色々おちゃらけてきたけど、翠は変わらなかった。 翠を変えるのは俺がよかったけど、無理そうだから仕方ない。 でもね、翠。 これからは翠を守って、支えていく存在になりたいよ。 、
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

916人が本棚に入れています
本棚に追加