第3章 運命の出会い…

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 彼女らが駆け込んで行った場所は、植林地を抜けた向こうにある聖マリアンヌ教会であった。彼女達ダルク家の人々は、この時代でも珍しい献身的なカトリックだったのだ。その教会は、日頃からよくお祈りに来ていた。毎週日曜日になると家族で通ったものだ。  そう…ここで記しておくが、火星の1日は非常に地球と近く24時間と少し。なので火星歴でも7進法が使われ、ひと月も30日を基盤として21ヶ月の時が刻まれていた。  流石に近くで戦闘が行われてるだけあって、今日は教会の中で祈りを捧げている者はいなかった。ジャネットは息を切らすミミをせかし、教会の奥へと入って行った。 「…ぜぇ…ぜぇ…お姉様…息が苦しい」  ジャネットは走り過ぎて苦しがる妹をよそに、教会の祭壇の前に座り込む。そして、胸元で手を合わせてしばらく瞑想した後、色とりどりのステンドグラスから差し込む火星の太陽光を浴びながら、彼女はゆっくりと口を開いた。 「神さま…私は懺悔します。…今日母シルクが…母シルクが空の彼方へと旅立ちました。しかし…私は…私は…」  ジャネットの声が、僅かに震える。そこへ心配したのか息を整え終えたミミが、彼女の側に近寄り腕の裾を掴んだ。祈りに夢中だった彼女は、はっと我に返りミミの方を見る。そこにはいつもと変わり映えのしないミミが、キョトンと愛らしい眼(まなこ)で心配そうに自分を見つめている姿があった。 「ごめん…ミミ…。姉さんね…姉さん…」  その先を知っているかのように、自分だけの誰にも話した事のない悩みをよもや知っているかのようにミミは頭(かぶり)を振る。そんな妹にこれ以上心配させてはならぬと決心したジャネットは、1回教会の十字架に向けて深呼吸を大きくすると、揺れる今にも崩れそうな自分の気持ちに歯止めをかけ『心』を落ち着かせた。  その時である。ガタリと教会の奥の方で音が鳴り響き、二人は驚きながらその音の方に目を向けた。するとそこには、1人の中年の神父が、大きな地下道への入り口付近で、こちらを見て茫然と立ち尽くしている姿が見えた。
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