第3章 運命の出会い…

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 地下でジャネット達は、その振動により石畳の床の上に倒れ込んでしまった。その上に覆い被さるようにしてミミも一緒に倒れていた。 「「きゃぁぁぁ!」」  その時、二人の倒れた体の重みで、地下壕の石壇のような場所が、ズルズルと音を立てずれ始めた。二人はそのままずれ込んだ石壇の真下にあった、大きな空洞の中へと転がり込んで行く。その空洞は長く深く教会の真下…地下100mあたりにまで落ち込んでいた。滑り台を滑るように螺旋状の傾斜を猛スピードで滑り落ちて行く二人。  真っ暗な何も見えない傾斜を滑り落ちて、どのくらいが経っただろうか?ドサリと言う衝撃により自分達が、その最下層に到着した事を悟った。体の僅かな痛みを我慢してゆっくりと上半身を持ち上げたジャネットは、そこがかなりの高さのある空洞である事を認識した。ミミの安否は…。ジャネットは咄嗟にミミの名前を叫んだ。 「ミミ!」  それに答えるように、ミミがか細い声で返事をする。 「お…お姉様…」 「ミミ!大丈夫だったのね」 「…う…うん…。所々なんか痛いけど…何とか平気みたい」  その言葉を聞いて、一応の安心を得たのかジャネットは、持っていたライターに火を灯した。ライターぐらいの文明はこの時代でも未だに健在のようだ。 「あっ…熱っ!」 「お…お姉様…これ」  ミミが何気に手に持っていた布?のような物をジャネットに手渡すと、彼女はゆっくりとライターのそのか細い炎をその布?のような物に近づけて成分を分析するように観察していく。 「布?…どうやらかなり年代物の木綿のようね…しかし…何かしら?この感触…合成樹脂かな…」  その手の感触からも、その布の成分を分析していく。しかし、どうやら燃やしても害のないような物らしい。 「お姉様…燃えるんでなくて…それ」 「そうね…燃やしても害は無さそう。古代の布の中には燃やすと毒を出す物もあるから…」 「それが合成樹脂ね」 「そう…昔家の倉庫にあった何かの文献で読んだ事があるわ。火星の土壌から発掘された物の中に毒を出す布があるって…」  ジャネットは地べたに転がる金属の錆びた棒を拾い上げると、その布を巻き付け火を付けた。  一気に灯りの強さを増した炎が、その謎の空間を照らし出す。かなり広い空間のようだ。石作りの天井はゆうに十mはあろうかと思われる。ジャネット達はその炎の灯りを頼りに奥へと歩いて行った。
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