第3章 運命の出会い…

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「やった♪」  喜ぶミミを後目にジャネットは、冷静に自分の判断が正しかった事に対して主張する。 「大した事なかったわね…。まぁこんなものよ」  2人は更にそのブロックを押し、向こうの空間へとずれ込ませると、目の前に人1人がやっと通れるほどの狭い通路が現れた。  松明の炎が消えそうになったので、幾らか落ちていた『布』を拾い上げていたジャネットが、それを取り出し棒の先端に巻き付けると炎は勢いを増した。中には地下水が染みて使えない物もあったが、幾らかの布は乾いていた為、直ぐに使う事が出来た。  2人は更に地下空間の奥へと脚を踏み入れて行く。しばらく歩くと再び広い空間へと出た。 「お姉様!あれ!」  ミミが突然叫び走り出す。ミミが目指した所には、一筋の光が地上からスポットライトのように降り注いでいたのだ。 「光!」  ジャネットも喜びの余り、その光へと走り寄る。そして光が差し込む頭上を見上げた。光の筋は下から見ると円のように見える。恐らくどこかの井戸の底だと思われる。  しかし…その距離は遥かに遠い…。どのようにしてここから脱出しよう… そんな事を考えている内に松明を不意に床に落としてしまった。 「あっ!」  何度か布を巻き付けた為に、もう予備の物は残ってなかった。  2人は仕方なくその井戸の底から助けを呼んだ。しかしここは空井戸…人が来るはずもなく、時間だけが過ぎていく。  遂に疲れ切ってしまった二人は、その場にしゃがみ込み動かなくなってしまった。  …外ではまだ戦闘が続いているのだろうか。そんな不安も襲ってくる中、ジャネットが何かに気が付いた。胸元のポケットの辺りが仄かに緑色に光ってるではないか。  それとほぼ同時にミミも何かに気が付いた。頭上の光に気を取られて今まで気付きもしなかったが、この部屋の床は何やら分厚いガラス板で覆われていたのだ。そのガラス板の真下で何かが光っているのがわかる。それも姉の胸元で光る光と同じ色に…。  ジャネットは必死にその胸元で光る何かを取り出して見ると、それはあの『キー』であった。あの母親がくれた『キー』が緑色に仄かに光っていたのだ。
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