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強大な軍事力を誇るネルガルキングダムは、1041年から五度の遠征により隣国アフロディーテ公国の侵略を目論んだ。
アフロディーテ公国は巨大国家になっただけの事はあり、かなりの軍事力を有していたが、それは星南半球国家との貿易で成り立つ物であった。
軍事進行を開始して半世紀。均衡化している両国家のミリタリ-バランスを崩す為、キングダムは西州連合国家カホキア連邦共和国の切り崩しにかかった。カホキア連邦共和国はオリンポス山の東側マリネリス大渓谷の対岸に位置し、攻略には二の足を踏む台地にあったが二十年の歳月をかけて切り崩しに成功。幾らかの小国はキングダムに服従し、アフロディーテ公国との貿易ラインを遮断する事に成功した。
前国王ベイエヌーズ二世より王位を継承したネルガル王フェリペ13世は、その財力を背景にアフロディーテ公国東部ブルガ-ル地方を買収。第四次遠征の足掛かりとした。
運良く第四次遠征時前にキングダムにエドワード皇太子が生まれる。このエドワード、若干15歳で初陣し、憔悴し切ったアフロディーテ公国の諸州を次々と陥落。第四次遠征末期二年間に得た首級73にも及ぶ。黒い機体を駆る彼をアフロディーテ軍はブラックプリンスと言って恐れ、国内では軍神マルスの再来と言われた。
憔悴し切ったアフロディーテ軍は、東部ブルガ-ル地方の統治権をキングダムに譲ると言う形で一時の休戦協定を結ぶ。が…しかし…休戦中に現アフロディーテ公国国王バインベレック公ロクタ-ヌ伯が病死、跡継ぎのいないロクタ-ヌ伯の後継者として同族のログスタイン公ベッケンバッハ三世が若干12歳で選ばれた。
ロクタ-ヌ伯の死により再び緊張が走った両者は、好戦派の黒騎士エドワード皇太子により一方的に休戦協定を破棄され、3年後5度目の対決としてデウス戦役を引き起こす事になる。
資源が乏しく大した反撃も出来ないまま五年の歳月が流れ、アフロディーテ公国の所領の8割は完全にキングダムの手中にあった。有史より続く公国は、もはや風前の灯火であった。
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