第2章 ロレアンヌの少女

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 息を切らしながら、ミミが彼女に追い付き声をかける。 「ジャネットお姉様…はぁ…はぁ…速いんだもの」  しかし、当の本人は上の空。上空の青く広がる空に浮かぶ、幾何学的に並んだ不自然とも言える羊雲を見上げて、うんともすんとも言わない。 「ジャネットお姉様?」  ミミはそんなジャネットを見て、不思議そうに顔を覗かせた。 「…??」  しばらくしてジャネットは、何かに取り憑かれたように話しだした。まるで自分の心の中の何かに突き動かされるように…。 「…ごめん…ミミ…。私…行かなきゃ」 「行くって?…はぁ…はぁ…どこに?」  急に方向を変え、走り出した彼女の後を必死にミミは追いかけて行った。 「ちょっと!…ちょっと待ってぇ」  ブロンドの碧い瞳の少女二人が走る後方1kmほどの辺り…。黒い布地に髑髏と鷲の紋章が付く旗が靡いていた。その旗の持ち主は…高さ優に6mはあろうかと思われる鉄の巨人の姿であった。鋼鉄の人型戦車のような出で立ちに紋章の付いた巨大な盾を装備している。  『ダイモス』の紋章…ネルガル王国機甲騎士団が好んで使う紋章だ。別名『恐怖』…本物の恐怖が来たのだ。  騎士団の数は半端なく数十騎と見て取れる。その軍団が、何もない荒野の平原に立ち尽くしていたのだ。 「隊長!目的地周辺に到着しました。エアリー0通過より約東方に150㎞地点。ロレアンヌ地方ファンソラ区辺りの農業特区と思われます」  1人の兵隊が無線にて、隊長に報告をする。 「…こんなド田舎…何の為に…。まぁ いい、上からの命令だ。案の定エアリー0方面からの進行は楽だったな…。相手も意表を突かれたのだろう。進行は常に東側から行っていたからな…。セイレ-ン自治区を迂回してここから仕掛けるとは思いも寄らなかったのだろうよ。大した応戦も無くここまでこれた。よし!ヴォークルール陥落前にこの居住区を制圧せよとの命令だ!女、子供容赦なく叩き潰せ!」 「「了解!」」  皆が一斉に応答すると軍団は、その巨大な脚で進軍し始めた。
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