向かう先は

4/19
前へ
/55ページ
次へ
「い…やです…」 少女は声を振り絞って拒絶を示した。 「あ゙あ゙?」 もちろんそれで許すわけはないだろう。 「ひっ?!」 「何つった?よく聞こえなかったんだが?」 少女は黙り込んでしまった。 当たり前だ。 (まあ、あんな下品な顔で迫られたらなぁ) ぽけーっと神吼がそんなことを考えていると、部下の男が急かすように 「ほれっさっさと行くぞ」 と言った。 だから神吼は正直に返答する。 「行ったら殺されるんだろ?やだよ」 「………」 「………」 「………」 (馬鹿か) (馬鹿だ!) (馬鹿だな) 広い空間にいた神吼以外の三人は同時にそう思った。 「あのな、兄ちゃん、今どういう状況か分かってる?捕まってんだよお前は!だからお前に選択権はないの!」 「なるほど捕まってるから選択権はないと」 「そうだよ!分かったらさっさと行くぞ!!」 すると神吼はにっこり笑い、 「じゃあ逃げれば良いのか?」 「はぁ?何言っ…」         ‡†‡ 「あ、あんた何者なの?」 「んー、旅人?」 「なんで疑問形なのよ」 はぁ、と少女は溜め息をつく。 「まあ、助けてくれたことは感謝するわ。あ、ありがとう」 その空間には、男が二人倒れていた。 「ま、弱くて助かったよ。それと」 手錠をガチャガチャと鳴らす。 「この手錠が予想以上に頑丈でな」 少女はまだ有り得ないものを見たかのように辺りを見回した。 「………ほんとにありがとう」 「いや、良いって。お前を助けたのは理由があるからだし」 「?」 「出口何処だ」 「えっ?」 「いや、だから」 「………ぃ」 「あん?」 「………なぃゎょ」 「聞こえねぇよ!」 「うるさい!知らないわよ!悪かったわね!!」 「「………」」 「………え?本気で言ってんの?」 「………」 「嘘ォォ!!!」
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1124人が本棚に入れています
本棚に追加