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「つーか出口は?」
行こう、と意気込んだと同時に神吼は未だ解決していない問題を思い出した。
「誰か知ってるヤツいるか?」
望み薄で聞いたが、やはり少女達は知らなかった。
全員ここには気絶、もしくは目隠し等で目が見えない状態で連れて来られたらしい。
「どうすんのよ?」
少女が聞いて来る。
「うーん…残ってる手としては…」
神吼が下を見、それに釣られて少女達も下を見る。
そこには見張りの男がいた。
‡†‡
「ぶわはははははははははははははは!ちょっと!分かったからもう止め…ひゃはははははははははは!」
神吼が考えついた案は拷問である。
すぐに出口を教えればよかったものの見張りの男は意地を張り、教えなかった。
男らしいっちゃあ男らしい行動だったが相手が悪かった。
「えー?僕よく聞こえなーい」
神吼は………ドSだった。
ちなみに今、行っているのは…まあ、くすぐりである。
「本当にすいませんでし…ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
神吼と少女が付けていた手錠を男の手と足に付け、くすぐっている。
「うりうりうり~」
本来の目的を忘れる程、神吼は男をイジメていた。
そこでトントンと肩を叩かれる。
「ん?」
「いや『ん』じゃなくてねぇ…」
はぁ、と少女はこめかみを押さえる。
「もう教えてくれるって言ってるんだから許してやれば?」
「おお…そう言えばそうだったな」
まるで今目的に気づいたかのように神吼はイジメる手を離す。
「じゃ、教えてくれる?」
神吼はそりゃあもうこれ以上は有り得ない程、満面な笑みで出口を尋ねる。
その笑顔は見る人にとっては仏のような笑みだったが男から見た神吼の笑みは、
(ヒイィィィィッ!)
般若のような鬼のような笑みだったに違いない。
「教えます教えます!この通路を突き当たりまで行って、右に曲がると倉庫があるから、そこを左に曲がれば出口ですぅ!」
「早口過ぎて聞きとれないないんだよ下衆が!!」
「すいませんすいません!だからくすぐりはァァ!」
(こ、怖い…)
その時の笑顔は誰が見ても怖かった。
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