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神吼達はやっとこさ外に出た。
この辺までくると少女達も完全に安心した表情になる。
ここがどこだか分からないという問題があったが御丁寧に一本道だったのでそれに沿って進む。
少し歩くと、少女達も知っている道になり、無事に村が見えてきたところだった。
「そういえば自己紹介がまだだったわね。私は姓は周(しゅう)、名は蔡(さい)それで字は魅零(みれい)。えっとそれで…」
神吼は名前を聞きながらやっぱりここ三国の世界なんだなぁと思っていると、周蔡と名乗った少女はいきなり口ごもる。
「どうした?」
「その…助けてもらったんだし真名(まな)で呼んで欲しいなって…」
「真名?」
三国志の知識は少しかじった程度の神吼だったが真名なんて聞いたことがなかった。
(俺が知らないだけか?)
神吼が考えていると、そういえば…と思い出した。
確か白装束の資料によると『真名』というのは自分の認めた相手にしか使わせない、つまり親族や相当仲が良い相手にしか呼ばせない名前だ。
それを相手の許可なく呼ぶとかなり失礼らしい。
「うん…駄目、かな?」
しかし、さっきからなんでこの娘は顔が真っ赤なんだろう?
真名を教えるのってそんなに恥ずかしいことなのか?
「別に良いけど…本当に俺なんかで良いのか?」
ぶっちゃけ“今の神吼”は偽善者だ。
恐らく、“本来の神吼”を知れば………
そこまで考えて、思考を中断する。
「ぜ、全然良いわよっ」
「じゃあ良いが…」
「えっと真名は梨衣(りい)って言うの…」
「そっか、ならよろしくな梨衣」
「………うん」
(そういえばこっちの世界で使う名前も決まってたな)
神吼も名乗ろうとして、そう思った。
「俺は姓を趙(ちょう)、名は帥(すい)。字は臥秦(がしん)。んで真名は煌(こう)だ。もちろん真名で良いよ」
「あ、ぁりがとぅ…」
「?」
年頃の女の子はよく分からん。
程なくして、神吼達は村に着いた。
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