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「浮くな、俺」
神吼はそう呟きながら歩いていた。
それもそのはず、なんせ、聖フランチェスカ学園の生徒の着ている制服が太陽の光を受け、反射して光っているのだから。
その中に真っ黒の学ランを着ていたら嫌でも浮いてしまう。
(確か素材は…ポリエステル…だったか)
くだらないことに思いふけつつ目的の場所を目指す。
場所は聖フランチェスカ学園、と書いてあったが正確にはその周辺だった。
と、歩いていると目的地が見えて来た。よく見ると人……………………………………っぽいのが二人立っていた。
(つーか怪し過ぎだろ)
注目すべきはその服装。
(白装束)
その服装を説明するにはその単語がピッタリだ。
あいつらが依頼人だったら嫌だなぁと思い、目的地に他の人がいないか見たがその二人しかいなかった。
そしてその二人にゆっくり近づくと、
「こんにちは」
二人の内、一人がいきなりしゃべる。
「こんにちは」
これはただの挨拶ではない。
神吼はそう言うと、“意図的に”左手で頭を掻いた。
そうこれは挨拶ではない。
確認だ。
本当に本人かどうか、の
こんな怪しい奴らに俺以外で話し掛ける奴なんていないだろ、と思っていたのは秘密だ。
「………獅靖殿で間違いありませんね」
確認の動作が終わり、一人が尋ねて来る。
「ああ」
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