おみのさん―後編―

9/14

3777人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
―ダッ 先に動いたのは千秋だった。 ―キィンッ クナイと脇差しが交わる。 ―ガッ ―キンッ 実力は今のところ互角。しかし、千秋は余裕そうに笑ってる。 「…随分と余裕ね…」 「えぇ。でも、貴女も本気ではないでしょう?」 千秋とおみのは距離をとる。 「…何故…」 千秋は震える声で呟く。 「…え?…」 「…何故、裏切ったのですか?…折角、仲良くなれたと思ったのに…」 おみのが千秋を見ると、とても悲しい顔をしていた。 「…………」 答えないでいると、千秋が斬りかかってきた。 ―キィンッ 「貴女はっ!」 ―カンッ 「仲間だったんじゃないですかっ!?」 ―ガッ 「それなのに…!なんで…!?」 千秋は叫びながらも斬り結ぶ。千秋の脇差しは受ける度に、強くなっていく。 ―…くっ! おみのの腕は疲れてきた。 「…答えてください!!!」 千秋とおみのは得物を合わせながら、向かい合う。 そして、おみのが口を開いた。 「…私は裏切った訳じゃない」 「…おみのさん…」 千秋は複雑な顔をする。すると、おみのが強い力で押してきた。たまらず、千秋は距離をとる。 「…私の主はただ一人、高杉様だけだっ!!!」 おみのはそう言うと一気に距離を詰める。 ―キィィィン そして、二人が交わった後、 ―ブシャァァ…! どちらかの肩から血が吹き出る。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3777人が本棚に入れています
本棚に追加