目覚め

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「………」 千秋は黙って藤堂の謝罪をきく。 「…許してくれとは言わないけどさ…悪かったのは自分だったって気付いて…ちゃんと謝りたくて…本当にごめん…」 「…藤堂先生、顔を上げてください」 「…え?」 藤堂が顔を上げると、千秋の平手が迫っていた。 ―パァン! 「「千秋!?」」 永倉と原田は慌て、藤堂は殴られた所を手で抑え、ポカーンと千秋を見た。 そんな藤堂に千秋は、 「これで、許します」 ニッコリ笑いかける。 「でも!俺は千秋の心を傷付けたんだよ!?」 「だから平手一回で許したんじゃありませんか」 「でも…」 「しつこいです。私がいいって言ってるんだからいいんです!」 千秋は少し口を尖らせて言う。 「…ありがと…」 「いいですって。貴方はお菊さんの事しか頭にありませんから」 千秋がそう言うと、 「なっ!?千秋!それ、どういう意味だよ!?」 藤堂が顔を真っ赤にして叫ぶ。 「なんだよ、平助!俺達に内緒でお菊ちゃんと付き合ってるのか!?」 原田が話に食いつく。 「ち、違うよ!付き合ってる訳じゃ…」 「じゃあ何だ?平助がお菊ちゃんの事好きなんか!?」 「あ~もう!左之うるさい!!」 藤堂は原田を殴り始めた。 「ちょっ!いてっ!止めろ!平助!!」 千秋と永倉が堪えきれず、笑い出した。 「ちょっ!笑ってないで止めてくれー!」
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