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千秋はふと笑うのをやめ、耳を澄ます。
―…ドタドタ
―スパァン!
襖が勢い良く開く。
「…病人の前で何をやってるんですか?原田さん、藤堂さん、永倉さん」
「「「そ…総司…」」」
三人の顔が引き攣る。何故なら沖田は笑いながら冷たい視線で三人を睨んでいたからだ。
「沖田先生…三人は私を元気づけようとして…」
見ていて哀れと思った千秋は助け舟をだす。
「そ、そうそう!千秋が元気なさそうだったから…」
「だから、俺達が元気出させようと…」
「そう思ったから…。だからな?刀を抜くのは…」
上から順に藤堂、永倉、原田が青ざめて言う。
「問答無用です!」
沖田は刀を抜いた!
それを見た三馬鹿は逃げ出した!
「…ふぅ」
元からただの脅しだったらしく、直ぐに刀をしまう。そして、千秋を見る。
「…お、沖田先生、そこまでやらなくても…」
千秋は冷や汗をかきながら苦笑いをする。すると、沖田が近付いて、
「…まったく…また熱が上がったんじゃないですか?」
「あはは…」
千秋の顔が赤くなっている事に気付いた沖田は無理矢理、原田達を追い出したのだ。
「…柿村、入るぞ」
「駄目です」
千秋は即答した。組長の中で自分の事を『柿村』と呼ぶのは二人しかいない。
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