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―ガラッ
襖を開け、勝手に入って来た人物―土方に目も合わせず。
「駄目って言ったのになんで入って来たんですか?」
「うるせぇ、なんで俺だけ駄目なんだよ」
千秋の態度に顔をしかめながら沖田の隣に座る。
「土方さん、持ってきましたか?」
沖田は土方を見て尋ねる。
「あぁ、勿論」
土方は懐から小さな紙袋を出す。
「…何ですか?それ」
千秋は紙袋を指して訝しがる。
「石田散薬だ」
―ガラッ
「…何処行くんですか?千秋さん」
襖を開けて出て行こうとした千秋の前に沖田が立ち塞がる。
―くっ!何時の間に…
千秋は内心舌打ちするが、笑顔で答える。
「ちょっと外の空気を吸いに♪」
「駄目ですよ♪ちゃんと薬を飲んでください」
今にも飛び掛かりそうな沖田を目の前に、千秋は後ろに下がる。
「…何でこれを飲まねぇんだ?」
「隊士達から聞きました。もの凄く苦いんだと」
「良薬は口に苦しって言葉を知らんのか?」
「そんな言葉、知りたくもありません」
「…仕方ねぇ。総司、押さえてろ」
「はい♪」
沖田は千秋をガシッと押さえる。
「ちょっ!沖田先生!離してください!!」
「駄目ですよぉ。薬、ちゃんと飲んでください♪」
「覚悟しろ~、柿村ぁ」
土方がニヤニヤしながら近付いてくる。
この後、千秋の悲鳴が屯所中に響いたとか響かなかったとか(笑)
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