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「…入りますよ?」
千秋は目的の人物の部屋に一応、断って入ろうとしたが、返事が無い。
「…?」
―ガラッ
襖を開けるが、誰もいなかった。
「あれ?何処にいったんでしょうか?土方さんは」
千秋は首を傾げた後、天井を見上げる。
「…山崎さんもいないし……」
すると、門の方が騒がしくなる。
「何があったんでしょうか…?」
千秋は門に向かって歩き出した。
「芹沢局長がお帰りになったぞ!!」
門では数人の男達が騒いでいた。
「…何の騒ぎですか?」
千秋は近くにいた原田に尋ねる。
「…ん?あぁ、芹沢局長が帰って来たんだが…って千秋!?」
原田は尋ねて来た隊士が千秋だと知り、驚く。
「もう歩いて平気なのか!?」
「原田先生…近いです。それと…」
千秋は顔が近い原田を手で押し退け、周りを見る。
「先生が大きい声を出したせいで、あの人達がこっちを睨んでるんですけど…」
「……あ…」
千秋はこっちを睨んでくる男達を見る。
―…狸…?
真ん中で偉そうにしている男の第一印象。
「…おい、お前!芹沢先生の御前だぞ!挨拶くらいしたらどうだ!!」
狸に似ている男の隣にいた細い男が声を荒げる。
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