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「…………すいません…」
こういう相手は素直に謝ったほうがいいと判断する。すると、狸似の男が口を開く。
「お主、見ない顔だな」
「………」
「最近入隊した新入りなんすよ!」
千秋が黙っていると原田が慌てて説明する。そして、千秋の耳元で、
「千秋、名乗っとけ。後々めんどうな事になる前に」
と、言った。
千秋は眉を寄せ不満そうに、
「…柿村千秋です。若輩者ですが、よろしくお願いします」
と、一応礼儀正しく言う。すると、
「おい!そこで何をしている!」
土方がやって来た。平隊士達は自分の仕事があると、散り散りになって行った。残ったのは千秋と原田と芹沢達だ。
「…芹沢先生…こいつらが何かしましたか?」
土方は芹沢を見据え、尋ねる。
「…何でもない。行くぞ」
芹沢は千秋を横目で見た後、男達を引き連れ、行ってしまった。
「…はぁ」
原田は緊張が解けたようにため息をつく。
「ご苦労だったな、原田。もう戻っていいぞ」
「そうさせてもらいます…」
そう言った原田はそそくさと、自室へ戻って行った。
「…あの」
千秋が話しかけようとしたが、土方に遮られた。
「この…馬鹿!」
「…はぁ!?」
千秋はいきなり馬鹿扱いをされる。
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