芹沢鴨の帰還

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千秋が部屋から出ようとすると、 「近藤さんと総司と柿村は残ってくれ」 土方がそう言った。 「トシ、何か用か?」 近藤が土方を見て尋ねる。しかし、沖田が答える。 「芹沢局長の事ですね」 「そうだ」 「あぁ、その事か!」 ―呑気ですね、近藤局長は 「…柿村は既に会っちまった」 「「…えぇ!?」」 沖田と近藤は驚いて千秋を見る。 「千秋さん、女子だと気づかれませんでしたか?」 「…さぁ、今は何とも…」 千秋は首を傾ける。 「どうします?目をつけられて女子と気付かれたら…色々と厄介ですよ…」 「…うぅむ…」 近藤が唸った。 「土方殿!ちょっといいか?」 「…どうぞ…」 襖を開けたのは芹沢の隣にいた細い男だった。 「どうしましたか?新見殿?」 土方が片眉を上げて尋ねる。 「近藤局長と沖田殿もいましたか…」 新見は沖田と近藤を見た後、 「…少々、柿村を借りる」 と、千秋をチラッと見て言った。 「…何故ですか?」 「芹沢先生がお呼びだ」 「そんなの…」 土方が言い終わらない内に千秋が遮った。 「分かりました。直ぐに行きますと伝えてください」 「なっ…!?」 「分かった。なるべく早くしろ」 新見が出て行った後、 「千秋さん!!!」 「いいのか!?何をするか分からないぞ…?」 沖田と近藤は心配する。
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