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「百聞は一見に如かず、ですよ。沖田先生」
千秋は立ち上がり、襖を開ける。
「…分かった」
「土方さん!」
土方は腕組みをして千秋を見る。険しい表情で。
「ただし、無茶はするな。あと、変な騒ぎを起こすなよ?」
千秋は土方をジッと見つめ、
「分かってますよ♪それじゃ、行ってきます♪」
と、ニヤリと笑って出て行った。
―絶対何か問題起こしそう…
土方はさっそく後悔の念に押し潰されそうになった。
「柿村です。何かご用ですか?」
千秋は土方には絶対にしない礼儀を弁える。
「…入れ」
襖を開け、入り静かに閉める。
中には新見と芹沢がいた。
「…………」
沈黙が続く。最初に口を開いたのは芹沢だった。
「…お主、わしの小姓にならぬか?」
千秋は目を細める。
「…別にいいですけど…それは近藤局長に言うべきでは?」
「…まずは主の希望を聞きたかったのだ」
「そうですか…。私なら喜んで貴方の小姓をしますよ」
千秋はニッコリ笑って言う。
その言葉に新見と芹沢は密かにほくそ笑む。
「では、決まりじゃ。明日には近藤に言っておく。準備をしとけ」
「分かりました。では」
そう言って、千秋は無礼のないように出て行った。
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