芹沢鴨の帰還

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「……柿村…何を考えてやがる?」 土方が千秋を睨む。 「別に何も?」 千秋はニコニコ笑顔で答える。 「その笑顔が怪しいんだって…」 土方は片手を頭に当てながらため息をついた。 「大丈夫ですよ、私に任せてください」 千秋は意味ありげにニヤッと笑う。 意図を掴んだ土方も同じようにニヤッと笑った。 「…何かあったら報告しろよ…?」 「最初からそのつもりです」 千秋はクスクス笑う。 「…無茶はしないでくださいね」 沖田は心配するように言う。 「私はそんなに無茶しませんよ」 ―直ぐするくせに… 沖田はそう思った。 「…それじゃ、今日から芹沢先生の小姓、頑張ってくれ!」 近藤がそう言うと、 「はい、分かりました」 と、千秋は言った後、立ち上がり部屋から出て行った。 沖田と近藤も出て行った後、土方は、 「…山崎、いるか?」 山崎を呼ぶ。 「は、お呼びですか」 天井から山崎が降りてきた。 「柿村を見てろ」 「なんや、副長もやっぱ心配やないですか」 山崎が苦笑すると土方がしかめっ面になる。 「うるせぇ、あいつが無茶しないように見張るんだよ」 「まったく…トッシーも素直やないなぁ」 「さっさと行け!」 土方は照れ隠しにそう怒鳴った。
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