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「柿村!書類をまとめろ!」
「はい」
「次はこっちで適当に掃除!」
「はい」
「…何、ニヤニヤしてるんだ?」
「これが地顔ですから」
千秋が押し付けられた仕事をニコニコ笑顔でサッとこなしていくのが気に入らなかったのか、芹沢はフンッと横を向く。
「なんて嘘ですよ。芹沢先生が仕事をしてるのが意外だったからつい…」
そう、芹沢の事をただの横暴者だと思っていた千秋は、他人に押し付けるものの、きちんと仕事をする芹沢の姿に驚いていた。
「…これくらい当たり前だ」
芹沢は顔を背ける。
―照れてる…
「少し、休憩だ。茶を煎れてこい!」
千秋がクスクス笑っていると、芹沢は千秋にそう命令した。
「はーい♪」
千秋は嬉しそうに部屋か ら出て行き、台所へ向かう。
「…お茶ってどう煎れるんだろ…?」
千秋はお茶の煎れ方を知らなかった。
「いっか、適当にしましょう♪」
千秋は適当に茶の葉を入れる。そのままで。
「芹沢先生ー♪出来ましたよ」
「…何だこれは…」
「お茶です♪」
芹沢の持った湯呑みの中には熱いお湯に葉っぱが浮いていただけだった…
「…こんな物飲めるかぁ!!!」
芹沢は手元にあった扇を掴み、千秋に振り下ろす。
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