3777人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
―ガヤガヤ
京は賑やかだ。
「…はぁ」
しかし、千秋の足取りは重い。
その原因は数時間前に遡る。
―――――――――――
ーーーーーーー
--------
「…は?」
「いや、『は?』じゃなくて…」
千秋は土方の部屋に来ていた。今、芹沢は出掛けていていない。
「今、芹沢が遊郭にいるらしいんだ。あいつは酒が入ると暴れるから、大事を起こす前に無理矢理でも連れ戻せ」
「二回も説明されなくとも分かりましたよ。何故私なんですか?」
千秋が尋ねると、ニヤリと笑って、
「そんなの、おめぇが小姓だからに決まってるだろう」
と、答えた。
「土方…図りましたね」
千秋は面白くなさそうに言う。
「分かりました。どうなっても知りませんからね」
そう言い残し、部屋から出て行った。
「…何企んでんだよ…」
土方は冷や汗をかきながら言った。
そして、冒頭に戻る。
「何で私がこんなお使い紛いな事をしなきゃならいんですか……」
しばらくすると、怒声が聞こえてきた。
「貴様!このわしに盾突くのか!?」
千秋は再びため息をついて、一軒の遊郭を見上げる。
「…此処ですか…」
最初のコメントを投稿しよう!