おつかい

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千秋はその中に入った。 「すいません。此処に芹沢がいませんか?」 近くにいた店の女の人に尋ねる。女は怯えた様子で上を指差し、 「…2階に…」 と、答えた。 千秋はお礼を言って、階段を上がる。そして、一つの部屋の襖を開けた。 ―スパン! 「芹沢先生、此処にいますか?」 中にいたのは、酔っ払った芹沢と芹沢派の平隊士だった。珍しく新見はいない。 「何しに来た!柿村!!」 芹沢の怒号が飛ぶ。しかし、千秋は涼しい顔して、 「芹沢先生、帰りますよ。これ以上この店に迷惑をかけないでください。壬生浪士組の恥です」 と、芹沢を見て言う。 「うるさい!わしはまだ帰らん!!!!」 芹沢は千秋に鉄扇を振り下ろす。 千秋はサッと避けて、近くで震えていた女の人に、 「すみません、水を桶いっぱいに汲んで来てください」 と言った。女は返事をすると、慌てて下に降りて行った。 「さて、水が来るまで遊んでますか」 千秋は芹沢に顔を向ける。芹沢は既に自我を保ててない様子で暴れている。 千秋は芹沢の気を引く為に、そこらにあった小皿を投げ付ける。 ―パリン! 小皿に気付いた芹沢は難無く鉄扇で叩き落とした。そして、千秋を睨む。 「…柿村、何をする!」
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