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「…離してください」
しばらく無言だった千秋が口を開く。
「やだ」
―即答ですか…
千秋は無理矢理引き離そうとしたが、男の力に女の力は敵わない。
「僕について来て」
「えっ?ちょっ!!!」
稔麿は急に千秋の手を引き歩きだす。それに付いていけず、転びそうになる。
「………!」
来るであろう衝撃に目を閉じる。
―ふわっ
「おっと」
「…?」
千秋は目を開ける。稔麿に受け止められていた。
「もう、気を付けてよ」
「なら、急に歩き出さないでください!」
そう言った千秋は再び身体が浮くような感覚を感じた。
「な、何するんですか!!」
「面倒臭くなっちゃったから♪」
説明しよう。千秋の背中と腰に手を回し抱えている。つまり、千秋は稔麿にお姫様抱っこされている。
「いや、この状況を楽しんでますよね!?あんた!!!」
…若干、素が出ている。
「降ろしてください!」
「何?落としてください?この川に?」
「違ぇよ!降ろせ!!!あんた、どんだけ耳遠いんですか!?」
表と裏が混ざってますよ…千秋ちゃん(by作者
「はいはい、行くよー!」
そんな千秋をものともせず、走りだす稔麿。
「離せ!降ろしてー!!」
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