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「さて…と」
高杉は千秋の前に腰掛ける。
「何故、お前が此処にいる?」
「…どういう意味です?」
千秋は警戒しながら聞く。
「ハッ…はぐらかすなよ。壬生狼が何故此処にいるかって聞いてんだよ」
「…そんなの…こっちが聞きたいですよ…」
「…は?」
「…稔麿に無理矢理連れてこられたんですよ」
「…そうか…」
少し、同情する高杉。そして、千秋をチラッと見ると、
「…にしても…似てんなぁ…」
と呟く。
千秋の目が見開く。
「…誰に…ですか…?」
「この前、俺の事を訪ねて来た奴にだ。…名前は確か…秋夜(シュウヤ)だったか…」
次の瞬間、
―ガッ
千秋は高杉の胸倉を掴んでいた。
「…何のつもりだ…」
高杉は慌てずにいる。しかし、高杉の問に答えず、
「…何処にいる…?」
「…は?」
「今、そいつは何処にいるんだ…答えろ!!!」
「…それが、お前の本性か…」
その言葉にハッと我に帰り、高杉の胸倉を離す。
「…すいません…取り乱しました…」
千秋は息を吐いて前髪をくしゃっとさせる。
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