千秋の影

2/6

3777人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
「さて…と」 高杉は千秋の前に腰掛ける。 「何故、お前が此処にいる?」 「…どういう意味です?」 千秋は警戒しながら聞く。 「ハッ…はぐらかすなよ。壬生狼が何故此処にいるかって聞いてんだよ」 「…そんなの…こっちが聞きたいですよ…」 「…は?」 「…稔麿に無理矢理連れてこられたんですよ」 「…そうか…」 少し、同情する高杉。そして、千秋をチラッと見ると、 「…にしても…似てんなぁ…」 と呟く。 千秋の目が見開く。 「…誰に…ですか…?」 「この前、俺の事を訪ねて来た奴にだ。…名前は確か…秋夜(シュウヤ)だったか…」 次の瞬間、 ―ガッ 千秋は高杉の胸倉を掴んでいた。 「…何のつもりだ…」 高杉は慌てずにいる。しかし、高杉の問に答えず、 「…何処にいる…?」 「…は?」 「今、そいつは何処にいるんだ…答えろ!!!」 「…それが、お前の本性か…」 その言葉にハッと我に帰り、高杉の胸倉を離す。 「…すいません…取り乱しました…」 千秋は息を吐いて前髪をくしゃっとさせる。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3777人が本棚に入れています
本棚に追加