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―その頃の屯所
「土方さーん、千秋さんを見ませんでしたか?」
沖田が土方の部屋に来ていた。
「柿村なら芹沢を迎えに行ったぞ」
土方は机に向かい仕事をしている。
「芹沢先生を?さっき帰ってきましたけど、千秋さんの姿は見えませんでしたよ?」
「…なら、どっか寄り道してんだろ。総司、連れ戻してこい」
顔を上げずに、あまり心配してないように言う。
「そろそろ暗くなってきましたからね。じゃ、行ってきます」
沖田は部屋を出て、速足で行った。
「…離してください」
「やだよ」
「離せ」
「やだ」
千秋と稔麿は、ずっとこれの繰り返しをしている。
「~いい加減にしてください!何度も言ってるでしょう!?貴方達の仲間になるつもりはありません!!!!」
痺れを切らした千秋がそう吐き捨てた。
「…そんなに壬生狼がいいの?」
「…別にそういう訳では……」
「じゃあ、なんでそんなに壬生狼にこだわるの?」
「………」
―そんな事、考えもしなかった
「…壬生狼は人斬り集団でしょ?あんな所にいたら君もいずれ人を斬る事になる」
千秋は下を向く。
「…人なら斬りました」
下を向いたまま答える。
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