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「それって、おみのの事?」
稔麿が間髪入れずに問う。
「!?…何故それを…」
「そりゃ、俺達の仲間だったからな」
黙っていた高杉が言う。
―…仲間…か
「…それもあります。でも、それだけじゃありません。私は…人を…たくさん…」
―涙は出ない、悲しくなんてない…悲しむ資格なんて………ない
「「……!」」
高杉と稔麿は千秋の突然の行動に驚いた。
千秋は目に見えない速さで窓に近づき、窓から……飛び降りた。
二人は急いで窓に近寄り、下を見た。
しかし、千秋は無傷で立っていた。
「じゃ、帰りますね。お元気で」
上を見上げてニッコリ笑って、走り去っていった。
「…やられた…」
「あ~あ、行っちゃった」
高杉は目を覆うように手をあて、稔麿は残念そうに言った。
「…でも、今度会ったら絶対に手に入れる…」
「…ハァ…ハァ…」
―ここまで来れば平気かな…?追っ手も来てないし…
千秋は走るのを止めて、立ち止まる。
「…兄上…」
『なんで壬生狼にこだわるの?』
―何時から壬生浪に情を入れてしまったんだろ…
しばらく立ち止まってる と、
「千秋さーーん!」
と、自分を呼ぶ声がした。声のした方を見ると、手を振りながらこっちに走ってくる人が見えた。
「…総司さん」
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